栃木市で建築見学

 今週は、ほぼほぼ栃木市におります。

写真1枚目
栃木市の中心地を流れる巴波川(うずまがわ)には毎年この時期に、気持ちよく風に泳ぐ鯉のぼり掲揚されています。
新緑に包まれるこの時期は、田んぼの水張りなど水辺が気持ち良いですね。
鯉のぼりの掲揚は5月17日まで。

写真2枚目・3枚目
地元の優良工務店、㈲伴工務店さんの新築現場を観せていただける事になり、お邪魔させていただきました。
静かな住宅街に、主張し過ぎない存在感で建てられた佇まいは、低く深い美しい軒を持つ平屋の住まいで、室内へ入れると、低い佇まいとは逆に、板張りの勾配天井で造られたダイナミックな空間が広がる素敵な住まいでした。
“開”と”閉”のバランスが何とも粋な設計に感化された月曜日。
案内くださった伴社長に感謝。

写真3枚目・4枚目
栃木市伝建地区内修理物件
[仮称]杉戸長屋
設計事務所・大工仲間と伝統的建造物保存地区内の歴史的建造物を修理し、貸したい方と借りたい方との橋渡しをし、地域の価値を高めることに貢献する目的で立ち上げた団体「かえもん暮らし」によって完成した物件。
5軒長屋として江戸時代に建てられ、時の流れの中で改修が繰り返された結果、3軒長屋の形状で未使用の状態で残されていた建物を3店舗が入居可能なテナント長屋として完成。
低い佇まいの素敵な建物となって現世に蘇りました。これからまたこの建物の新しい時が動き始めます。
工事前に伝建地区内での”商い”に興味が有る方を募り、見学会を開催した会もあり、2店舗の入居が決まり、残す1店舗も内見終了返事待ちの状態です。
歴史的価値の有る建物を修理し、時代の流れにあった利活用方法を提案し、活用してもらう事は、人の流れが生まれ、地域の活力、価値の向上になるはずです。
“古い街並み・建物”という宝物が街のあちらこちらに存在する栃木市の発展は何とも楽しみで、そこに関わらせていただける事に感謝感謝の週前半でした。


意匠と性能の両立した住まい
創右衛門一級建築士事務所
https:souemon.net

 

補助金を使うという事


“年度末”その言葉は、普段の業務にはあまり縁のない言葉。
ただ、補助金を使うと必ず出てくる言葉。
近年関わらせていただいている伝統的建造物保存地域の業務も補助金を使わせていただいているので”年度末”と言う言葉で業務を区切り完了検査を受け、年度内工事を完了させなければなりません。
住宅関連も耐震診断やZEH、グリーン化事業、県産材、大谷石の活用など補助金っていろいろありますね。
“年度末”と言う区切りがあるので、うまくタイミングが合えば賢く使いたい制度ですね。

〈写真1枚目〉
登録有形文化財の建物が在する敷地に板塀をデザインする現場では、塗装工事を行い本年度で工事終了。
周辺の塀に色彩を合せ黒い柿渋で仕上げます。
こちらも”年度末”!
〈写真2枚目〉
安政5年(1858年)の土蔵保存修理の現場。
着工から3年目の工事が終わりました。
本年の工程は、左官工事の土壁がメインで、小舞竹と言われる竹で格子状に組まれた下地造りと土壁を形成する”土”造りからスタート。
土壁は完成すると壁厚25センチ程になり、以下の工程で造られて行きます。
荒打→縦縄→縄隠→横縄→縄隠→大直し→小直し→中塗り→上塗り

R2年度工事は、”縦縄+縄隠”で終了。
土壁完成はまだまだですが、再来年度完了を目指し工事を進めて行きます。
これも”年度末”

土壁!住宅や店舗に使ってみたい素材です。


意匠と性能の両立した住まい
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伝建地区はしごの日

R3年3月2日[火]雨

伝統的建造物群保存地区の業務、はしごの日

午前中、茨城県桜川市真壁町にて、塀の修景工事。施工会社の加工場にて寸法確認及び納まりの打合せ。

登録有形文化財に指定された明治時代の建物が建つ敷地に街並みに沿うよう板塀を2パターン設計しました。

3月末完成予定。


午後、栃木市嘉右衛門町へ、江戸時代の土蔵保存修理工事の現場へ現場監理。


本年度予定の土壁は、荒打→縦ナワ→縄カクシにて終了。

来年度、まだまだ続く土壁工程を残し、本年度残す工程は平場の瓦葺き工程で終了です。
一枚一枚擦り付けて仕上げて行きます。
こちらの土蔵の完成はまだまだ先(2年後…)になります。

雨の中、伝建地区をはしごした一日は、少々時間のすすみがゆるやか気がした穏やかな日になりました。

夕方、ザブザブでしたけど…


意匠と性能の両立した住まい…
創右衛門一級建築士事務所
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伝統的建造物の修理 窓を戻す

江戸時代の土蔵保存修理の現場
約150年前の土蔵修理保存の現場では、左官職人さんによる竹小舞の作業と大工さんによる窓部の施工が進んでます。

解体時に生捕りにしておいた約150年前の創建当時オリジナル開き窓を元の場所へ戻します。

保存修理の現場では、なるべくオリジナル材を残し再使用する事に正義が存在しますが、そこに加え今後の耐用年数も考えオリジナル材再使用の是非を己に問います。
この判断が重要!折角直したのにすぐ壊れるわけにはいきませんので判断に悩みます。
この開き窓は下地が健全だったので再使用の判断としました。

解体時に解った事で、実柱(サネバシラ:窓の丁番を固定するための柱)に書かれた墨文字はこの現場名が納品先として記載されてました…江戸時代にも建具屋さん的な窓廻り部材のみを造る職人…工場的な業者が存在したのかな…(どうなんでしょう???)
建物の事だけでなく時代背景も見えてくる現場です。

写真2枚目
鉢巻(屋根の直下にある壁より斜めに張り出した壁と屋根を繋ぐ部分)の木舞竹が綺麗に完成しました。

藁縄で綺麗に縛られた小舞竹をみて竹や土壁って店舗設計や住宅にも使えるな…ひと味違うグレードの空間が…っと!


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現場進捗状況

昨日は、久しぶりに事務所への来客等、緊急事態宣言が解除になり世の中もゆっくり動き出し始めた…そう感じた週頭でした。
コロナの流行を秋以降にもう一波来ると想定し、対策をして今のうちに出来ることをしておこうと思います。
そんな週頭の現場廻り。


〈写真1枚目〉

リノベーションの現場[house-WT-R]

2期工事も終盤。
造作の下駄箱を取付、その上の壁面演出の為、無垢材の加工品“デザインウォール”を施工。白い珪藻土と無垢材が良い感じに仕上がりました。

既存の腰板と新規腰板の色合わせに苦労。塗装職人の技術にて見事な仕上がりです。


〈写真2枚目〉
栃木市の伝統的建造物保存地域内、江戸時代の土蔵保存修理工事の現場では、木舞竹の施工が7割程完成。
竹を縦横…藁縄、棕櫚縄を使い縛って土壁の下地を造ります。この後、秋より土を施工する準備として、現場敷地内に土混ぜ、寝かせておく為の土プール(2m×4m)を2つ設置。全てが初体験の現場にニンマリです!


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土壁下地の小舞竹

一週間って何曜日から始まる?カレンダーは日曜日スタートが多いですが、仕事始めの感覚からすると月曜日スタート…っと言うことで月曜日スターと考えて…

今週より江戸時代の土蔵保存修理工事の現場では土壁の下地工事、“小舞竹”の施工が始まりました。
〈写真1枚目〉
予め柱に鋸状(苆掛け)の加工や竹を差し込む穴を加工しておき、尺八竹や横竹、縦竹を棕櫚縄と藁縄を使い結び止め柱間に施工していきます。土壁をつくる下地 は、「竹」と「縄」で構成され、「縄」は細かく編んだ竹と土を密着させ、土と竹が一 体化しするのに重要な役割を果たします。“苆掛け”の刻みに全て横竹が設置されます。
〈写真2枚目〉
縦竹が格子状にならび綺麗な2階空間になりました。
床ベニヤは施工上の仮設材。


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小舞竹

コロナ生活…どんな工夫をして過ごしていますか…?

私の平日(仕事)はコロナ前とほぼほぼ変わらずデスクワークメイン。強いて言えば小学生の息子が事務所にいる事ぐらい。
休日は変わりましたね!外食を控えテイクアウト食を楽しみ、遊びに出かけず家の事をする日々。良いか悪いか休日も仕事したり…
GWも家にこもります!コロナが終息する時を楽しみっ!

さて、仕事のお話ですが、本日は一昨年より関わらせていただいている江戸時代の土蔵保存修理工事のR2年度工事契約をして参りました。

本年と来年度の2ヵ年計画でいよいよ土蔵のメイン工事、土壁の工程に入ります。本年は小舞竹+荒土(内外)を施工し、来年度で縦縄横縄+中塗り+上塗り+漆喰仕上の工程で進めていきます。


〈写真1枚目〉
現場に搬入した竹。
5m×500本。
木舞竹用の竹が売っているんですね。


〈写真2枚目〉
解体前の土壁を壁構成をサンプル用に丁寧に解体した写真。
写真の様に土壁を2年計画で造ります。


伝統的建造物を保存修理する目的は、歴史的価値の有る建物を未来へ残す目的も勿論ですが、もう一つ”技術の伝承”という大きな目的も有ると思います。
土壁を施工するのは左官職人さんですが、この”土壁”を施工できる職人さんが不足しています。かつ職人さん高齢化によって技術の伝承が急務となっています。

私の関わらせていただいている今回の現場は、他に例をみない規模の土壁施工が行われます。この機会にプロの左官職人さん向けに技術の伝承を目的とした”土壁ワークショップ”も考えています。一から土壁施工が体験出来る大チャンスなので是非御興味ある左官職人さんお待ちしております。案内ができましたらUPします。

↑↑↑にはやはり”コロナ終息!”が必要です!


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祝上棟 江戸時代の土蔵

 江戸時代(約150年前)の土蔵保存修理工事の現場では、先週3日掛かりで棟上げをすることが出来ました。
 蟻害・腐敗により損傷のひどい梁や柱をオリジナルに忠実に加工した新材に置き換え、既存のオリジナル材と上手く調整しながらの棟上げ、そして何よりデカイ材にいつもとは違う棟上げになりました。
一度、地組たのに3日も掛かりました…

 写真1枚目
新たに加工した松材の梁。太い部分は大人の腕が回らないくらいの太さです。
 写真2枚目
新材と既存材でオリジナルに忠実に再築造された小屋組み。
外部廻りは損傷がひどく、新材が多くなりましたが、全体7割程度は既存材を補修し再使用した小屋組みです。
 写真3枚目
土蔵の柱は全てが通し柱。上から下まで1本で構造を形成しています。柱頭、柱脚のみの腐敗損傷であれば根継ぎと言う補修も可能なのですが、既存材の状態は柱脚、柱間、柱頭と、土台、梁、桁との接合部は、ほぼほぼ雨水や蟻にて腐敗損傷状態にて、再建築後の築年数も考慮し、全て新材へ交換する判断としました。
 写真のように土蔵の柱は、土壁をよく付着させる為に用いる小舞竹を乗せるよう、外部側をノコギリ状にギザギザに加工してあります。
 本年度は、来週の市役所による完了検査を受けて予定工事完了。来年度はいよいよ土壁施工に入ります。
2年掛かりですが…


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伝建保存修理工事 地組

R2年2月27日に上棟決定。
江戸時代(約150年前)の土蔵保存修理工事の現場(工場加工)では、梁材柱材の加工が概ね完了し、加工した材を上棟前に地上の平らな所で仮組みする“地組”と呼ばれる工程が行われています。
住宅などでは無い工程ですが、150年前の古材と新材を組み合わせた複雑で大型の小屋組みは、一度平場で仮組みし、微調整をしながら問題無く組み上げることが出来るかを確認し、また一度解体します。
新材の大きな梁(松材)は加工後に木自体が捻れたりし、他の部材との接合部がズレたりします。古材は古材で、解体前は建物全体で押えられていたものが、解体され自由になった事で捻れたりします。
地組に立ち会って来ましたが、いゃ〜すんなり組めないものですね!組んだり外したり、1本の部材を取り付けるのに何度もウィンチで上げ下げしながら調整しておりました。とても手の掛かる建物です!
写真2枚目は釿(ちょうな)と呼ばれる
工具で、現代建築では使うことの無い工具です。鍬で畑を耕すように使い丸太の表面を荒削りする工具です。
古材の梁表面が釿で加工された“名栗(なぐり)”と呼ばれる波状の削り肌に仕上がっていたので新材も名栗仕上げにっ!
棟梁田村氏、1本の梁材を名栗仕上げするのに2日掛かったと笑いながら言っていました。
いちいち手間の掛かる楽しい現場です!


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伝建保存修理工事


来月頭に上棟を予定している江戸時代の土蔵保存修理の現場(工場加工)では梁材、柱材の加工をしております。
基本的にはオリジナル材を再利用し補強痕をあえて残し修理していく事がセオリーですが、約150年前の土蔵は経年の劣化より屋根、壁の破損部分からの雨水の侵入や蟻害にてバサバサズボズボ状態になった再利用不可の材が多々あります。そんな柱、梁材は新材に交換します。
写真は“中引き”と呼ばれる小屋組の梁材。オリジナル材と同等材を選定し、加工も模造します。
30センチ程の大物丸太材(松材)は加工の道具も大物。棟梁の田村氏が両手で抱える程の道具で加工してました。
いやぁ〜棟梁大変です。

来月上棟間に合うかっ!


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