絶対湿度から除湿量の実測



R6.7.8(月)[晴れ]

昨日は、2級建築士学科試験の試験監理員をつとめて参りました。

年々難しくなる試験、受験生は覚える事が多く大変かと思いますが、取得すれば大きな責任を担うことになる資格、難しくて当然…っと過去に合格した人間は勝手な事を思う…

住宅設計者においては、多くの建主様が人生で一番高価な買い物で、大切な家族が長い時間を過ごす事となる安全安心で快適かつ素敵でなくてはならないとても重要な物。

そんな大切な住まいを依頼していただけるのだから、我々住宅の設計者も時代と共の変わる建築について日々勉強を続けて行かなくてはならない…

そんな事を思いながら試験監理員をして参りました。



試験の帰り道、先日着工したインナーガレージのある住まいhouse-KHの現場により施工状況の確認。

建物形状がやや変形な事と、車2台分の無柱空間ガレージがある事で構造上重要な大きく深い地中梁が数カ所あり、位置、形状を確認して来ました。

地中梁部分の根切りは、深く掘削され山状に整えられおり畑のような光景…

本日より鉄筋組立作業が開始となりました。



昨日の試験監理中に”日々勉強を続けて行かなくてはならない…”なんて思ったものですから、先月参加させていただいた『空調の基礎を極める講座(基礎編)』の復習をかね、本日は少し勉強と実測をしてみました。


空調の基礎に大切な「湿り空気線図」
高気密高断熱住宅には欠かせませんね。

この図には、絶対湿度などあらゆる状態の水を含んだ空気の状態が線で示され、変化の各状態を数字で把握できる図です。


下記は『空調の基礎を極める講座(基礎編)』である年の東京の年間温湿度を月別でプロットした湿り空気線図です。

この図からわかる事は、人が快適と感じる季節(3月後半〜6月上旬・10月〜11月中旬)より
空気中に含まれる水蒸気量(絶対湿度)は、おおよそ7g/kgDA〜13g/kgDAの範囲な事がわかリます。

Screenshot


当事務所の本日の環境下で快適と感じる室内環境にするには、どのくらい除湿する必要があるのか、絶対湿度より計算してみました。

【計算①】
◯創右衛門事務所:
・面積24.84㎥
・容積62.54㎥
・給気量:31.27㎥/h
法定換気量0.5回/hより
給気量を62.54㎥×0.5回=31.27㎥/hとして算出

◯R7.7.8 14時30分ごろの外部環境:
・気温36℃
・相対湿度54%
・絶対湿度20.4 g/kgDA

◯目標事務所内環境:
・室温27℃
・相対湿度50%
・絶対湿度11.1 g/kgDA

◯事務所の本日14時頃の1時間あたりの除湿量の算定
外部と事務所内の絶対湿度差=9.3 g/kgDA
31.27㎥ ÷ 0.83㎥/kgDA=37.67kgDA/h
(空気の比容積=0.83㎥/kgDA)
9.3×37.67=350.33g/h

本日のような環境下で、事務所内を27℃/50%に保つには、1時間あたり0.35L分の湿度を水に変えて捨てなかればならないようです。

因みに1日あたりだと0.35L/h×24時間=8.4L/日


実際に当事務所のエアコン除湿量はどのくらいになるのかエアコンから排水された水の量を実測してみました。


【計算②】
◯除湿量の算出
・エアコンの吹出し口:0.65m×0.09m=0.0585m
・吹出し速度:平均3.0m/s
上記よりエアコンの吹出し量
 =0.0585m×3.0m/s×3600s/h=631.8㎥/h
 631.8㎥/h÷0.83㎥/kgDA≒761kgDA/h
・吹出し空気:16.5℃/91%/絶対湿度10.6 g/kgDA
・吸込み空気:26.9℃/53%/絶対湿度11.7 g/kgDA
上記より絶対湿度の差は1.1 g/kgDA
1.1 g/kgDA×761kgDA/h=837.1g/h≒837mL/h

∴1時間あたり837mLの水が室外機から排水されていると想定


実際の写真添付
↓↓↓



実際の排水量
500mLペットボトル1本+0.8本
∴900mL

計算②とほぼほぼあっている結果となりました。




ここで2つ疑問

疑問①
エアコン吹出し口からの相対湿度は100%になると学びましたが、実測は91%でした…
これでは露点しないように思いますが、風速計測器が安価品なので計測不良なのでしょうか…

疑問②
計算①の屋外と室内の除湿量計算では、1時間あたり0.35L分の除湿量と出ましたが、実際の除湿量と倍以上違うのは何が違うのか?
実際の換気量が容積の0.5回/hと違うか?

実測することで生まれる疑問…
まだまだまだまだ勉強不足…
次回の『空調の基礎を極める講座(応用編)』までに再検討してみようと思います。



意匠と性能の両立した住まい…
創右衛門一級建築士事務所
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